トラックバックの有効性

kyukaが,ついにトラックバックとコメント機能を無効にした.トラックバックは,国際化に問題があって満足に動いていなかったから仕方がないけど,コメントスパムが多かったらしい.有名人ゆえの悩みだと思う.


私はまだblogの新参者で,実はここに書いていることもほとんど周囲に言っていないこともあって,全然よく状況を理解できていないのだが,トラックバックって,本当に有効なのだろうか?


というのは,最近blogに興味を持って,関連研究会に出席しているものの,トラックバック解析で成功している例をまだ見かけない.Webのリンク解析は,すでにかなりの実績を上げており,私の所でもさまざまな試みやシステムを解析して良い感触を得てきたが,blogのトラックバックに,類似の手法を適用しても効果があまり得られないという報告が多いからだ.


この主な原因は,Webのリンクが,情報を見た人がその情報に対してリンクするものであるのに対して,blogのトラックバックは,情報を見て欲しい人が,人の情報に対して張るものだからだと考えている.


Webのリンク解析では,基本的には被参照関係だけを用いるか,特に被参照関係に着目することで,より良い結果が得られる.たとえば,ページの被参照数を,その大きさに従って順位付けして対数グラフにプロットすると自然界で良くみられるようなベキ分布になる(これは一部の有用なページを,多くのページがリンクしていることを意味する)が,ページの参照数をプロットしてもベキ分布にはならない.これは,機械的なリンク生成やリンクスパムが存在し,それが法則性を崩しているからなのだが,blogに関しても,そのような現象がみられるのではないか…つまり,対スパム性が弱いのではないか…と推測している.だから,小規模な時にはトラックバックは有効でも,大規模になると破綻するのかもしれない.これは,コメントの場合も同様だろう.


今後は,グローバルな情報交換の仕組みを考える時には,理論的にスパムフリーになるような設計を意識する必要があるのかもしれない.