ソーシャルネットワークと人間関係の希薄化

CNET Japanに,「ソーシャルネットワークと人間関係の希薄化」では,Ben Golubが,「SNSは,弱い紐帯を沢山作るシステム」と位置づけて,疑問を提唱している.

http://japan.cnet.com/column/pers/story/0,2000050150,20085013,00.htm

まあ,この主張には疑問の余地があるが,確かにSNSを使っていると,「なんか,暇一つ便利じゃないんだよね」感が存在する.それは何なのだろうか?

一つの理由は,現実の人間関係と比較すると,かなり異なる関係になりやすいということがありそうだ.たとえば,SNSシステムをアクティブに使っているような人とすぐ繋がっても,本当に知り合いたいような人には繋がらずに,単なる知り合いが沢山増えるだけでは有益ではない.また,知人から追加を頼まれたら,現実には拒否するのは難しいし,有名人は問題が起こりそうなので入らないかもしれない.

もう一つの理由は,計算機内の人間ネットワーク間のコミュニケーションは確実すぎるということだ.現実世界では,関係があるからといって,必ずしも情報が転送されてくるわけではない.これは,関係の強弱,文脈,地域性などが関連して,ある種の取捨選択が行われるからである.しかし,SNSでは,関係がある人に必ず情報が転送される.もちろん,orkutのように人間関係に強弱を付けられたり,コミュニティという単位で分割できたりするのだが,人間関係はスモールワールドなので,少し大きくなるだけで,いきなり情報量が爆発する.

結局,安田先生が上に紹介した書籍で「ネットワークは数ではなく質である」,「隙間が多く,風通しのよい関係を構築する」と言っているが,現在のSNSから得られる人間関係ネットワークは,これに反していることが問題なのだろう.ただ,これを技術的に解決する方法はあると思う.