人脈づくりの科学(安田 雪)

安田雪先生(所長?)の2004年に出た本.

人脈づくりの科学 「人と人との関係」に隠された力を探る

人脈づくりの科学 「人と人との関係」に隠された力を探る

これは,安田先生の専門の社会ネットワーク学に加えて,近年のスケールフリーネットワークに関する研究も踏まえながらも,やさしく読める本になっている.でも,ビジネス書という範疇ではなく,随筆に近いかもしれない.

特に興味深いのは,弱い紐帯・強い紐帯が転職に果たす役割についての考察である.一般的には,有名なMark Granovetterの論文から,転職には弱い紐帯が有効であるということになっているが,これに対して紐帯の強弱ではなく数が影響しているという反論や,渡辺深氏の分析で日本では逆に強い紐帯の方が役に立つという反例が示されている.そこで,実は弱い紐帯が示唆するものはスモールワールドであったという考えから,さまざまな考察を加えている.

また,松尾豊氏も協力しているので,人工知能分野の研究者について詳細に分析されているので,心当たりがある人は目を通してみるのもよいかもしれない.