LogiTech Cordless 2.4GHz Presenter

プレゼンテーションで重要なのは,自分の体を自由にして,演台の周囲のスペースを有効に活用することだと,以前に英語の発表練習を受けた時に講師に教わった.しかし,どうしてもノートPCに張り付いてしまったり,原稿を読んでしまう.結局,良いプレゼンをするためには,思い切ってノートPCや原稿から離れて,プレゼンターやレーザーポインターだけを持って,観客の目を見て話すことが必要なのだ.

ある日,私はケータイWatchの「本日の一品」を見て,これはっ!と叫び声を上げてしまった.それは,次のLogitechのプレゼンターだ.

http://k-tai.impress.co.jp/cda/article/todays_goods/24824.html
http://www.logitech.com/index.cfm/products/details/US/EN,CRID=2000,CONTENTID=9893

私は,今まで同社のBluetoothコードレスプレゼンターを使っていた.

http://www.logicool.co.jp/index.cfm/products/details/JP/JA,CRID=2000,CONTENTID=4981

これは光学マウスにもなる半面,大きく(単3電池2本),しかもカバンの中に入れておくと,すぐ電池がなくなってしまうのだ(レーザポインタの誤動作ではないかと思う).というわけで,せっかく学会に持って行っても使えなかったことも多かったので,なんとかならないかなと思っていたのだ.これは遙かに小型(単4電池2本)で,よさそうに見える.この記事を見た後で,秋葉原でうろついて同様なプレゼンターを探したが,さすがにこれにかなう製品はなさそうだった.

しかし,一番の問題は入手経路.国内ロジクールは未だに扱ってくれていないし,海外Logitechでも無理だったので,海外通販だ!と思って,amazon.comで注文したところ,これは日本には出荷できないらしい.結局Googleに転職した元同僚に頼みこんで,海外で購入してもらった.やはり,最後に頼りになるのは人間である.

今では,非常にお気に入りのこのプレゼンターを,ぜひ皆さんにも紹介したい.これからの,海外出張のお土産はこれだっ!

特徴

このプレゼンターの特徴は,以下の通りだ.

  • 小型・軽量.119mm×40mm×20mmと手の中にすっぽり収まるサイズ.重量は電池を入れても,70g!持ち運びがまったく苦にならない.
  • LCDタイマー.つまり,カウントダウンタイマーが付いていて,バイブレータで知らせてくれる.タイマーの設定は横にあるタイマーボタンを押すだけで5分単位で設定できる.アラームが設定時間の5分前,2分前,設定時刻の3回も知らせてくれる.細かい設定はできないが,どうせプレゼン中はそんな余裕はないのでかまわない.
  • ON/OFFスイッチ.Bluetoothコードレスプレゼンターはちゃんと電源が切れないので,結局使用後には電池ボックスの中に薄いプラスチック板を入れて,強制的に電池をOFFにしていた.このめんどくさい行為から,ようやく開放された.
  • 電池残量表示.これは,スイッチをONにすれば,電池の残量がLCDに表示される.これで,電池交換時期を間違えることはない.なお,仕様では電池は半年持つと書いてある.私は購入から週1コマ(1.5時間)の授業などで約2ヶ月使っているが,まだ同梱されていた電池を使っている.
  • 5個の制御ボタン.スライドショー開始(F5)/修了(ESC),暗転,前進,後退,音量など,豊富な機能を提供している.ただし,常にどのアプリケーションでこれらのボタンが使えるとは限らない.詳しくは,後で説明しよう.
  • レーザポインター.これはクラスII(1mW)で,国内で認可されている最大出力のようである.残念ながら大型の液晶ディスプレイのプレゼンに使うのはきびしいようである.たとえば,手元に元Sun MicrosystemsのNorbert Lindenbergに貰ったクラスIIIa(5mW)と書いてあるJavaOneロゴ付きレーザポインターぐらい明るくないと厳しいようだ.もちろん,普通のスクリーンなら,何の問題もない.
  • 内蔵USB無線レシーバー.なんと,レシーバーが,本体に内蔵できちゃうのだ.これで忘れることもなくなるし,なんと言っても持ち運びの時にコンパクトになる.仕様では,約15m(50フィート)まで届くとあるが,実際に試してもそのくらいは大丈夫なようだ.
  • ネオプレーン製キャリングケース.前の製品もここがよかったが,5mm厚くらいのネオプレーンでケースが作られているので,このケースに入れれば,適当にカバンに放り込んでおいても大丈夫なのだ.
  • 価格.Logitechでは$79.95とあるが,例えばamazon.comでは$54.99である.Bluetoothコードレスプレゼンターは,なんと31,290円で売られている.でも,この値段なら,買ってもいいと思うでしょ?

Windowsの場合

Windowsの場合には,レシーバーを突っ込むとUSBキーボードとして認識される.3台ほどのPC(Windows 2000とXP)に入れてみたが,認識に関しては問題はなかった.

さて,Windows上のプレゼン用アプリケーションにおける,各キーの対応状況を調べてみよう.

ソフト 開始 終了 暗転 前進 後退 音量
PowerPoint
OpenOffice ×
Acrobat × ×

OpenOfficeでは,プレゼンテーション開始キーがF5ではなく,別のキーに割り当てられており,F5は別の機能を呼びだすようである.でも,これが変更できれば問題ないだろう(どうしたらいいか,誰か教えて).

なお,私はxkeymacsでESCと'`'を入れ替えていたが,このような場合は終了できなくなる.また,なぜかIBM ThinkPad X40だと,音量ボタンが使えないという症状が現れているので,多少の機種固有の問題はあるかもしれない.

Mac OS Xの場合

この製品は,Microsoft Windows 98SE,2000,Me,XPでしか動作保証されていない.ではMac OS X上では?…というと,ほぼ問題なく使用できるようだ(ただし,自己責任で行って頂きたい).ただし,多少のコツは必要だ.

というのは,レシーバーをUSBポートに差し込むと,キーボード設定アシスタントが立ち上がってしまい,「続ける」をクリックすると,なんと「外部キーボードのShiftキーのすぐ右にあるキーを押してください」というメッセージを表示して待ち状態に入ってしまうのだ.当然このプレゼンターにはShiftキーはない!一体どうしたらいいんだっ!!!(泣)

しかし,ここであわててはいけない.まず「適当に」(笑)ボタン(戻るボタンとか)を押して欲しい.そうすると,自動判別が不可能とみなすメッセージが表示されるので,そこで「OK」を押すと,マウスによる設定画面に移る.ここで,「ANSI(米国その他)」を選んで欲しい(JISでもかまわないかもしれないが).これで問題なく使えるようになるはずだ.

なお,Mac OS X上のプレゼン用アプリケーションにおける,各キーの対応状況は以下の通りだ.

ソフト 開始 終了 暗転 前進 後退 音量
PowerPoint ×
Keynote
Acrobat × ×

たとえば,このプレゼンターの開始ボタンはF5を押しているだけなので,アプリケーション側のキーバインディングを変更すればいいと思う.

追記:たとえば,PowerPointの「スライドショー」メニューの「実行」項目をF5で実行するためには,次のようにしよう.

  1. 「システム環境設定」の「キーボードとマウス」を選び,「キーボードショートカット」タブを指定する.
  2. 下にある「アプリケーション・キーボードショートカット」を選択して反転させ,「+」ボタンを押す.
  3. 表示されるダイアログの「アプリケーション」で,Microsoft PowerPointを選ぶ.プルダウンメニューに表示されない場合は,「その他」を選んで追加しよう.
  4. 「メニュータイトル」に,「実行」と入力する.
  5. 「キーボードショートカット」のテキストフィールドを選択し,"F5"キーを押す.
  6. PowerPointをすでに起動していたら,再立ち上げする.
  7. 「実行」項目の横に,F5と表示されているかを確認する.

これでうまくいくようだ.