成果主義

労務行政研究所の発表によると,成果主義については経営側の88%,労働側の94%が「問題がある」と認識しているらしい.

私の会社の問題は,成果主義が単に上層部にとって都合のよい人間(NOT 優秀な人間…ここでNOTと断言しても正しいのが悲しい)を優遇するシステムになってしまったことだろう.なにしろプロジェクトを大失敗させても高い評価を貰うのだから,すでにそれは「成果主義」ではなく,「ご都合主義」になってしまっている.成果を冷静に判断できない日本人には,成果主義は向かないのかもしれない.

ダンカン・ワッツの"SIX DEGREES"(日本語訳は実はワッツの別の本の書名を付けているので,あえて英語で)に出てくるトヨタ=アイシン危機(特殊な工作機械が必要なブレーキのPバルブを生産する唯一のアイシン精機の工場が火事で焼失し,トヨタの生産ラインが停止した時に,トヨタの系列工場全体と協調して対応することで,三日後に生産を再開できた件)のように,日本人が得意なのは人と人と繋がりなのかもしれない.

スモールワールド・ネットワーク―世界を知るための新科学的思考法

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  • 作者: ダンカンワッツ,Duncan J. Watts,辻竜平,友知政樹
  • 出版社/メーカー: CCCメディアハウス
  • 発売日: 2004/10/01
  • メディア: 単行本
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しかし,日本の成果主義はその人と人の繋がりを破壊して,重要ではなく,単に心情的に切りにくい箇所(自分に近い人間や媚びを売る人間)だけを残してしまう結果に繋がったのだろう.もちろん,重要な部分は,外に流出していくわけだ.