はてな住所登録パブリックコメント

とりあえず,コメントを書いておこう.基本的には,「現時点の説明では,住所登録をする意義はまったく感じない.ちゃんとした論拠を示すのなら住所登録に同意すると思うが,その場合には,その使用範囲は個人同定という最小範囲に止め,プロバイダのように高い管理コストを掛けるべきだ」である.少なくとも,現在の穴だらけの案が強行されるのなら,私も高木さんのようにここを辞めようと思う.

  • 個人情報の収集目的が個人の同定にあるといいながら,他の目的への転用を考えているのはおかしい.少なくとも個人同定が目的なら,その最低限の情報だけを集め,それ以外に使用しないのが道理だろう.今回の話は,個人同定ではなく,個人情報の収集と利用が目的としか思えない.たぶん,この種のサービス提供者側によくある「個人情報を集めたら,よりよいサービスが提供できるかもしれない」という幻想から個人情報を集めたがっているのだと思うが,別にそのようにしても良いサービスが提供できるわけではない.
  • システムのバグから個人情報が盗まれるのであり,はてなの社員が何人だろうが無関係だ.実際に,今回もシステムのセキュリティバグがあったばかりなので,はてなのセキュリティ水準が高いわけでもないことは実証されてしまった.それなのに,目的外にいろいろ転用しようとしたら,セキュリティの危険が増すだけだ.
  • 最近,Yahoo! BBが起こした個人情報の転用問題で政府も動き始めているようで,少なくとも現在のような利用範囲があいまいなままというのは,将来は許されない.
  • 個人情報の登録が,時々はがきで確認するなど安易な方法でおこなわれてよいわけがない.悪意のある人間が別の人間の個人情報で登録し,発覚するまで悪事を続けることは容易に考えられるし,実際に私もそういう被害に何度かあったことがあるからだ.今の方法では,明らかに不完全である.
  • インターネットカフェや一部のプロバイダが危険だという回答があったが,それならそもそもそこからのアクセスを禁止すべきであろう.特にキーストロークを盗むプログラムによる実害が出ている今,個人情報を入手される危険を放置することになってしまう.
  • 上記の条件を満足する管理体制を維持するには,はてなの現在の人数では難しいので人員を増やす必要があるし,必要な費用も膨大になるはずだ.本当に,それまでのコストを掛けて実行する必要があるものなのか?
  • 身分詐称というのは,どのようなサービスでも,住所を登録しても起こる可能性があるし,私も実際に携帯電話やクレジットカード詐欺の被害にあったことがある(身分証明書さえも容易に偽造できる世の中なのだ).それを考えると,メールアドレスの詐称も,住所の詐称の可能性は基本的には変わらないと言えるが,問題が起こった時の被害は,後者の方が圧倒的に大きいのだ.そして,何らかの問題が発生したとしても,組織として適切な対応さえしていれば,責任に問われることはありえないと思うが,どうだろうか?