インターネット検索の未来シンポジウム(早稲田大学)

行ってきました.残念ながら,ここで紹介した時にはすでに申し込みが打ち切られていたが,どうも建物のキャパちょうどで計算したらしく,実際にはまだ余裕があった(無料イベントは,2割ぐらいは確実に来ないものである).それでも100人以上は来ていたらしい.大学のイベントであるが,43%が企業関係者だったとのこと.

http://www.waseda.jp/mnc/INSTITUTION/2006/sympo2006.html

で,肝心の内容をざっと書こうと思ったが,豊田さんのブログですでに書かれているので,逆に本質的でないことを書こうと思う(苦笑)

http://www.tkl.iis.u-tokyo.ac.jp/~toyoda/.cgi-bin/diary/?date=20060426

さて,今検索関係業界はホットであり,競争も熾烈である.その結果,こういうイベントでも質問に対して「答えられない」ということがある.まあ,肝心の部分が言えないのは当然だが,せめてすでに公知となっているような事実や技術的情報はあるのだから,それを使ってうまく回答するべきではないだろうか?そうすれば,学生の就職人気ランキングももっと上がるのではないか(笑)

次にパネル討論の基本テーマを,モデレータの山名教授は「今のサーチエンジンは使えない」というところを出発点にしたかったようだが,パネラーや聴衆共に「使える」という意見が多かったようである.もちろん,これはこういうイベントに集まる人間の傾向を反映していたのだろうが,ある意味で今のサーチエンジンは原始的な道具であり,そういう範囲内では十分使える…しかし,そのためには熟練や技術,ノウハウの積み重ねが必要であり,それを持たないユーザは大変だということなのだろうと推測している.

たとえば,豊田さんのブログでは,初代検索名人の関氏の挙げた煙草のニコチン含有量の検索の例が挙げられているが,私は「多数決」を挙げたい.シンポジウムでも,山名教授が翻訳時の適切な訳語決定として挙げていたが,Webで同じ意味の複数の英文を検索して,一番事例が多いものを最適とすることは,今では翻訳に関係する人が普通におこなっているテクニックであり,かなり昔から沖電気や東大(田中久美子先生?)からも提案されてきた手法である.聞けば,すぐわかるようなことだが,意外と思いつきにくかったり,わかったとしても多少のノウハウの蓄積が必要だったりする…こういうものは,比較的すぐ支援できる上に,利便性が高いかもしれない.商品比較や,ドラマ人気比較などにも繋がりそうだし.

最後にちょっと関係ないかもしれないが,テレビブログは目から鱗だった.Semantic Webの関係者の中には,大規模データに厳密なタグ付けを要求する人もいて,そういう場合には眉につばを付けてこっそり立ち去ることにしている(笑)しかし,テレビ番組程度なら,厳密なタグ付けを力業でできるわけであり,さらにWikipedia的な協調モデルを持ち込もうとしているところが面白い.実際には,ビデオ機器との連動などの点の制約が強くて理想通りには運ばないかもしれないのだが,面白い着眼点だと思う.

追記:…とか書いた直後にYahoo Go for TV発表ですか….

http://japan.cnet.com/news/media/story/0,2000056023,20102718,00.htm