国会図書館、ネット情報収集へ 保存して一般公開

こ,これには本当にたまげた.冗談じゃなく今日は5/1じゃなく,4/1だと勘違いしたくらいだ(笑).

http://www.asahi.com/national/update/0501/TKY200504300227.html?ref=rss

このニュースはすぐに閲覧できなくなると思うので,概要を書いておく.

  • 国会図書館が、納本制度審議会(館長の諮問機関、会長=衛藤瀋吉・東京大名誉教授)の答申を基に、「インターネット情報の収集・利用に関する制度化の考え方」をまとめた.

http://www.ndl.go.jp/jp/aboutus/data/a_toushin_2.pdf

  • JPドメインの一般に公開されているWeb上の情報を国会図書館が収集し,一般公開する.
  • 収集対象は自動収集(↑ Wow!)と本人からの申告.
  • 収集方法と時期を公開するので,著作権に問題がある場合は自己申告(↑ Wow!)
  • 公開に関しては,国や地方自治体,独立行政法人の情報はネットで公開,私的な情報は国会図書館内で閲覧・印刷可能(↓ がっかり…ちゃんと落ちました(苦笑))

以前の河野先生との話の時に出てきたと思うが,国際的にはWeb上の失われつつある情報を,法的に曖昧な状態でありながらも,とりあえず保存を優先とした動きがおこなわれており,Internet Archiveが一番有名だ.しかし,日本では非常に後ろ向きで,「著作権法では,そういう行為は許さない」と,著作権者にいちいち確認を取らないと収録できない的な愚かな主張がまかり通っていた.

実際に,私もその種のネガティブ論者に,某研究会で発表した時に「Webから勝手に情報を収集して,こういう高度な解析をおこなうのはけしからん!」とクレームをつけられて,さらに「あなたの会社に圧力を掛けて,辞めさせることもできるんだよ」という脅迫まで受けていたこともあるのだ.そういう人たちが,実は国のアクティビティを支えたりしているので,この程度の譲歩でさえも私にとっては驚愕に価する.柔軟な方向に進んでいることを歓迎したい.この柔軟化には,会長代理の公文俊平先生の貢献が大きかったかもしれない.

ただし,以前に「あの」高木浩光氏に相談した時には,「確かに,著作権的にはグレーな面もあると思う」というコメントを頂いた.私のように情報を自動的に利用する方法を研究開発している側としては,使って欲しくない情報は使う必要はないので,使って欲しくない場合にはそれを機械的に容易に判断できるように明示する手法の検討と標準化(←重要)を今後継続して検討していく必要があるだろう.