ソーシャルタギング

「“ソーシャルタギング”はGoogleを超えるか」という記事をITmediaで見つけた.

http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0502/02/news062.html

この記者が勘違いしているのは,Webでリンクしあう行為そのものがソーシャルタギングであり,それをうまく利用したのがGoogleであることである.たとえば,あなたが誰かのページが素晴らしいと思い,それを自分のページからリンクしたとしよう.その場合には,そのリンクに簡単な解説(アンカーテキスト)をつけてることでろう.

これをWeb全体から見ると,あるページに対してさまざまな言葉が付けられていることになる.たとえば,「日本電信電話株式会社」なら他にも「NTT」,「みかか」という説明が付けられることだろう.これは,ある情報に対して,その内容を簡潔に表すさまざまなタグが付けられることと等価である.

さらに,そのページが重要になればなるほど,多く付けられる.つまり,あるキーワード(検索語)がより多く付けられているほど重要だということだ,

これらの特徴を利用したのがGoogleである.日本では,PageRankGoogleの検索の的確さの原因であると誤解した人も多かったようだが,実際にNECが公開した(アンカーテキストを用いずに)PageRankを利用したサーチエンジンでは,検索品質が向上せず,Googleに変更したという実例もある.PageRankは,目指すページがトップに出てくることではなく,検索結果に変なページが紛れ込まないようにするスパム対策に有効なのである

なお,ブックマークをネットワーク上に保存して,それをまとめて利用しようする試みは過去に存在したが失敗した.これは簡単で,「人間は余計なことをやりたがらない」という原則に反しているからだ.また,余計なことをわざわざする人は,何らかの意図(例えば,自分の利益を追求したい)ということも多く,これは質の低下に繋がる.

セマンティックWebを完全に否定するわけではない.しかし,少なくとも,大規模におこなうとしたら,タグ付けという行為のコストがゼロ,ないしはその人に何らかの利益をもたらすものであること,そして複数の人間の行為の結果を客観的に判定する尺度の二つが絶対必要だろう.