蟻と組織

少々古い話だが,北海道大学大学院農学研究科の長谷川英祐助手の研究で,働き蟻の中には,ある程度の割合で何も仕事をしない個体が存在するが,その個体を取り除くと,逆に集団としての生産性が若干低下するという報告があった.さて,仕事をしない蟻は,どのような役割を果たしているのだろうか?


この話にずっと興味を持っていたのだが,(これまた少し古い)8月の知識ベースシステム研究会でも,マルチエージェントシミュレーションにおいて,ある程度の異端な存在が必要であったという報告があった.つまり,環境の外乱には,整いすぎた組織は非常にもろいということらしい.


これらの話からすると,ある程度意識して異分子を混在させることが,組織を維持する重要な手法なのかもしれない.しかし,(私の会社を含めて)このような異分子を毛嫌いし,排斥しようとする日本企業が多い気がするのは気のせいだろうか?


なお,なぜあなたの上司は無能なのか?ということに興味がある人には,ぜひ「ピーターの法則」を一読することを勧めたい.この本は,階層社会学について述べているが,あなたのその疑問に答えてくれるはずである.もちろん,あなたが経営者の場合には,自分の組織を駄目にしない方法にも.


ピーターの法則 創造的無能のすすめ

ピーターの法則 創造的無能のすすめ